カタールワールドカップのグループHの第2戦「ポルトガル×ウルグアイ」の試合中に観客が乱入しました。
ワールドカップではこれまで度々このようなシーンが見受けられましたが、2021年ごろから各サッカー協会の対応は異なっています。
乱入者を一切映像で放送しなくなった

今まではカメラマンが面白がって撮っていた乱入者を一切放送しなくなったのです。
それは乱入者が世間の注目を集めることを阻止するためです。
今までは面白いハプニングとして捉えられていた乱入ですが、最近では政治的メッセージの発信や注目されたい個人のSNS投稿に利用されるようになってきました。
発信の目的は以下のように様々です。
- 女性の権利向上
- LGBTQの人々への差別廃止
- 各種人権問題の提唱
- 暗号資産(仮想通貨)の宣伝
- 選手との写真撮影
これまでは感情が昂ったサポーターが選手にサインや写真撮影をねだることが多かったように思いますが、最近ではデリケートなテーマを訴えかけるものも増えてきました。
僕個人としては差別や偏見を認めるつもりは一切ありませんし、おそらくFIFAもそうでしょう。しかし、個人の情報や意見の発信のために真剣勝負に水を差すことは方法として明らかに間違っています。
各国のサッカー協会はこうした映像を放送してしまうと乱入者の思う壺だということに気付き、2021年ごろから乱入者が映っている中継映像を一切放送しなくなりました。そして、このワールドカップでも国際映像で乱入者が抜かれることはありませんでした。
今回のワールドカップで乱入者によって試合が中断されたのは僕が知っている限りは1回だけです。
サッカーの大きすぎる影響力を悪用されないためにもこうした放送をしないという対応は非常に良いと思います。
さらにはメディアの人には試合が終わった後にも乱入者の報道記事を書かないでほしいです。完全になかったことして流してしまうことが再発防止の最善策だと思うからです。
そもそもFIFAが政治的メッセージの発信のを許可しないのは当たり前

世界各国の協力を得て初めて成立するのがワールドカップ。なので、FIFAがどこの国とも仲良くやりたいのは当然です。
もし出場する選手がワールドカップの影響力を使って参加国どうしで社会問題を叩き合った場合、ワールドカップはどうなるでしょう?
下手をしたら代表チームを派遣しない国や、批判された国の企業がスポンサーになってくれないかもしれません。
大会のレベルが下がり、スポンサーも付かなくなってしまうのはFIFAとしては何としてでも避けたいと思いますよね?
様々な国が関わるからこそ難しい判断を迫られている

今大会はヨーロッパの一部チームが中東諸国などに向けて性多様性を訴える虹色のアームバンドの着用を試みましたが、FIFAは拒否。
これはFIFAが性多様性を否定しているということではなく、参加する中東諸国(開催国カタールを含む)への配慮です。
カタールでは同性愛は違法とされています。なので、「虹色のアームバンド着用の許可」は即刻カタールの政治への批判となります。
ワールドカップには各国の大統領をはじめとした国や企業のトップが来ます。そのときに「何でうちの国の法律を非難するようなことしてくれたの???世界中から抗議されて困ってるんだけど。」と問い詰められたらFIFAはキツイですよね…。
まあ、アームバンドの着用を認めなくてもヨーロッパから批判されるのですが、今大会に関しては開催国の顔を立てたということでしょう。
なので、そういった国や企業との関係性のことを考えると、デリケートな問題ほど選手たちに好き勝手メッセージを発信されたらFIFAも困るんですね。関係者の間を取り持つ仕事は思っているよりも大変そうです。
まとめ 意見発信は適切な場所で

ニュースを観ているとワールドカップの負の側面が報道されていることもあります。
ただ、その事実と試合は分けて考えるべきであり、全身全霊で勝負をしている選手たちの邪魔をしてはいけません。
社会問題を取り上げてみんなで検討し、より良い社会を作り上げていくことには僕はもちろんFIFAも大賛成だと思います。
ただ、選手は選手で夢舞台での試合を存分に力を発揮しようとしています。その勝負を観たいと思っている何億人という人に、試合を遮ってまで自分の意見を一方的に発信するのは違うと思います。
適切な方法で意見発信はしてほしいですし、FIFAとしてもそうした思惑に乗らないのは正解だと思います。今後このような乱入者が試合に入ってこず、無事に大会が終わることを祈っています!
以上!最後まで読んで下さってありがとうございました!!!!!